日本人の読み書き能力調査

1948年(昭和23年)8月、GHQ/CIE(民間情報教育局)の指示により実施された、日本初の全国規模の科学的識字率調査。アメリカ教育使節団報告書による漢字廃止・ローマ字化勧告の妥当性を検証する目的があった。

調査方法

配給台帳等に基づく厳密なランダムサンプリングにより、全国270地点・405会場から15〜64歳の16,820人を対象に実施された。日本で初めてランダムサンプリング技術を用いた全国規模調査という点でも画期的だった。日本側では林知己夫が統計手法を、柴田武・野元菊雄らが問題項目の検討を担当した。

調査問題は90問(1問1点)。試験官が発した言葉をひらがな・カタカナ・漢字で書き取らせる問題や、文章の意味が通じる語を選択肢から選ばせる問題などで構成された。90問中65問は選択式だった。

結果と解釈

1951年刊行の報告書『日本人の読み書き能力』(読み書き能力調査委員会、東京大学出版部)は、「ゼロ点の者の割合」を非識字率と定義し、1.7%(文献によっては2.1%)という低い数値を結論づけた。この結果は国内外で広く引用され、「日本人の識字率は極めて高い」という通念の根拠となった。日本人の識字率がすでに高いという結果は、ローマ字化の必要性を主張する根拠を弱め、その後の国語改革は文字体系そのものの変更ではなく当用漢字による漢字制限という路線に落ち着いた。

近年の再検討

国立国語研究所の横山詔一らは、90問中65問が選択式であったことを踏まえ、偶然の正解を補正すると満点相当の割合は6.2%程度にとどまると指摘し、「正常な社会生活を営むのにどうしても必要な文字言語を理解する能力」という基準で見た場合、報告書が示すほど識字率が高かったとは言えないと再評価している。

出典

作成日時: 2026-08-14 21:55 / 更新日時: 2026-08-14 21:55