RVC (Retrieval-based Voice Conversion)
2023年に公開されたオープンソースの音声変換(Voice Conversion, VC)技術。テキストからではなく、既にある音声(自分の歌声など)を入力とし、話者性だけを別人の声に変換する「speech-to-speech」である点がTTS系ツールと異なる。リポジトリはRVC-Project/Retrieval-based-Voice-Conversion-WebUI、MITライセンス。前身の技術であるSo-VITS-SVCから発展した。
仕組み: 3つのコンポーネント
- 特徴抽出器: HuBERTなど自己教師あり学習モデルで、入力音声から言語的内容の特徴を抽出する。
- 検索(retrieval)モジュール: 抽出した特徴を使い、ターゲット話者の音声データベースから最も近い音声セグメントを検索する。これが「Retrieval-based」の由来で、統計モデルで直接特徴をマッピングする方式より自然性・話者忠実度を高めることを狙っている。
- ボコーダー: 検索結果の表現から実際の波形を合成する。
ベクトル量子化(VQ)や敵対的学習(adversarial learning)といった手法も組み込まれている。学習には10分程度の音声データがあれば良好なモデルを作れるとされる。
主な用途と論点
主用途は歌声変換で、動画共有プラットフォーム上で人気キャラクターの声で楽曲をカバーする「歌ってみた」的な使われ方が広く見られる。一方で、本人の同意なく著名人の声を模倣することがプライバシー・パブリシティ権の侵害に当たりうるという懸念が指摘されており、実際に一部プラットフォームで著名人に似せたAI生成音声への削除申請が出された事例がある。
音声クローニング・音声変換ツールの中での位置づけ
このハブノートの中で唯一の「音声変換(VC)」系ツール。GPT-SoVITS・Fish Speechがテキストから音声を生成するTTS系なのに対し、RVCは既存の音声(歌声など)の話者性だけを変換する用途に特化している。
出典
- RVC-Project/Retrieval-based-Voice-Conversion-WebUI - GitHub
- Retrieval-based Voice Conversion - Wikipedia