フーリエ変換
時間領域(あるいは空間領域)の関数を、「どの周波数成分がどれだけ含まれているか」を表す周波数領域の関数に写す積分変換。
\hat{f}(\xi) = \int_{-\infty}^{\infty} f(x)\, e^{-i 2\pi \xi x}\, dx
音楽の和音を個々の音程に分解するように、複雑な信号を単純な正弦波の重ね合わせに分解する。
直感
f(x) に e^{-i 2\pi \xi x} を掛けることは、すべての周波数成分から \xi を引くことに相当する。積分すると、周波数 \xi にちょうど一致する成分だけが直流成分として生き残り、それ以外は振動して打ち消し合う。つまり「掛けて積分する」ことが特定周波数成分の抽出になっている。
主な性質
- 畳み込み定理 — 時間領域の畳み込みは周波数領域の掛け算になる(逆も然り)。フィルタ処理や高速な畳み込み計算の基礎
- 微分 — 時間領域の微分は周波数領域では i\omega 倍になる。偏微分方程式(熱方程式・波動方程式)の求解に効く
- シフト — 時間シフトは位相因子の掛け算になる
- 不確定性 — 時間領域で局在した関数ほど周波数領域では広がる(逆も然り)。信号解析における不確定性原理
存在条件は絶対可積分(\int |f| \, dx < \infty)。発散する信号にはそのまま適用できず、その制約を減衰因子で回避して一般化したのがラプラス変換。
ファミリー
- フーリエ級数 — 周期関数版。離散的な周波数成分(基本波の整数倍)に分解する。Joseph Fourier が1822年の熱伝導の研究で「任意の関数は正弦波の級数に展開できる」と主張したのが起源
- DFT(離散フーリエ変換) — サンプリングされた離散データ版
- FFT(高速フーリエ変換) — DFTを O(n \log n) で計算するアルゴリズム。デジタル信号処理の実用上の主役
応用
信号処理(スペクトル解析・フィルタリング)、偏微分方程式の求解、フーリエ変換分光法、量子力学(位置表示と運動量表示の橋渡し)など。
周波数領域の変換の中での位置づけ
この分野の出発点となる基本の変換。ラプラス変換は本変換の連続方向への一般化、FFTは離散版(DFT)の高速計算アルゴリズムで、いずれも本変換を起点に派生している。