ダイヤモンド半導体

シリコンではなく炭素の結晶であるダイヤモンドを基板・活性層に使う半導体デバイス。4価元素である炭素同士のsp3結合でできた結晶を使う点がシリコン半導体と異なる。 #electronics #materials-science

物性

  • バンドギャップが約5.47 eVと非常に広い(シリコンは1.1 eV程度)。SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)などの「ワイドバンドギャップ半導体」よりもさらに広く、「ウルトラワイドバンドギャップ半導体」に位置づけられる
  • 絶縁破壊電界強度が高い(文献により10〜20 MV/cm)。同じ厚みでもより高い電圧に耐えられる
  • 熱伝導率が既知の物質中で最高クラス(22 W/cm·K)で放熱性に極めて優れる
  • キャリア移動度も高い(電子移動度約4000 cm²/V·s、正孔移動度約3800 cm²/V·s)
  • これらを総合したJohnson性能指数でSiC・GaNを上回り、高周波・高耐圧・高出力デバイス向けの「究極の半導体」と呼ばれることがある

製造方法

  • 高温高圧合成(HPHT: High Pressure High Temperature)
  • 化学気相成長(CVD)、特にマイクロ波プラズマCVD(MPCVD)による人工ダイヤモンド成長

用途と課題

現状は主にパワーエレクトロニクス分野の研究開発が中心で、p型ショットキーバリアダイオード(SBD)やユニポーラ型FETが主な対象。実験レベルでは耐圧10 kV級のデバイスも報告されている。

一方、n型ダイヤモンドの実現が難しく、これがバイポーラデバイス開発のボトルネックになっている。ドーピングプロセス自体も複雑でコストが高い。実際の製品化までは、少なくともあと5年程度かかると見られている。

日本では経済産業省・NEDOなどが国家プロジェクトとして開発を後押ししている分野でもある。

半導体の中での位置づけ

GaNやSiCよりさらに広いバンドギャップを持つ「ウルトラワイドバンドギャップ半導体」。研究開発段階だが、より高耐圧・高温動作の実現が期待される。

出典

作成日時: 2026-08-14 05:37 / 更新日時: 2026-08-14 05:54