aircrack-ng
無線LAN(Wi-Fi)のセキュリティを監査・攻撃するためのツール群(スイート)。元々あった aircrack のメンテナンスが止まったため、フォークして「-ng」(next generation)を付けたのが現在の aircrack-ng。Kali Linuxなどのペネトレーションテスト用ディストリビューションに標準で入っている。WEPのRC4鍵を復元するPTW攻撃のデファクト実装として広く使われた。
「aircrack-ng」は鍵を復元する中核ツールの名前であると同時に、それを含むスイート全体の名前でもある。
スイートの主なツール
Wi-Fi攻撃は「無線を傍受できる状態にする → パケットを集める → 必要なら能動的にトラフィックを増やす → 集めたデータから鍵を割り出す」という流れで進み、各段階に対応するツールが分かれている。
- airmon-ng — 無線アダプタをモニターモードにする。通常のNICは自分宛のパケットしか受け取らないが、モニターモードにすると周囲を飛んでいる全パケットを傍受できるようになる。
- airodump-ng — 実際にパケットをキャプチャする。周囲のアクセスポイント(SSID/BSSID/チャンネル/暗号方式)と接続端末を一覧表示し、指定したネットワークのパケットをファイルに保存する。
- aireplay-ng — トラフィックを能動的に生成・注入する。代表的なのがdeauth(認証解除)攻撃で、端末をアクセスポイントから強制的に切断させ、再接続時のWPAハンドシェイクを捕まえたり、ARPパケットをリプレイしてWEPのIVを大量に発生させたりする。
- aircrack-ng — 集めたデータから実際に鍵を割り出す。WEPなら十分な数のIVから統計的攻撃(PTWなど)で鍵を直接復元し、WPA/WPA2ならキャプチャした4-wayハンドシェイクに対して辞書攻撃・総当たり攻撃をかける。
WEPとWPA/WPA2での違い
- WEP — プロトコル自体に弱点があるため、パスワードの強さに関係なく、十分なIVさえ集めれば数分で鍵が割れる。
- WPA/WPA2 — プロトコルは堅牢なので、攻撃対象はあくまで事前共有鍵(パスワード)そのもの。ハンドシェイクを捕まえた後にオフラインで辞書・総当たり攻撃をかけるので、パスワードが十分に長くランダムなら現実的な時間では割れない。逆に言えば弱いパスワードを使っていると破られる。
正当な用途は自分の管理下のネットワークのセキュリティ監査や、CTF・ペネトレーションテスト(許可を得た範囲)。他人のネットワークへの無許可アクセスは不正アクセス禁止法などに触れる。
出典
- aircrack-ng | Kali Linux Tools
- How to Use Aircrack-ng | StationX
- cracking_wpa | Aircrack-ng 公式ドキュメント