東海道五十三次
歌川広重が天保4〜5年(1833〜1834年)頃に発表した木版画シリーズ(保永堂版)。江戸と京都を結ぶ街道「東海道」沿いの53の宿場町に、起点の日本橋・終点の京都三条大橋を加えた全55図からなる。版元は当初、仙鶴堂(鶴屋喜右衛門)と保永堂(竹内孫八)の合版として刊行され、のちに保永堂単独版となった。
特徴
いわゆる名所絵とは異なり、宿場ごとの何気ない風景・天候・季節・時刻の移ろいを切り取った観察眼と叙情性が高く評価される。中でも「庄野・白雨」(にわか雨に打たれる旅人)、「蒲原・夜之雪」(雪に覆われた静かな宿場の夜)は代表的な傑作とされ、専門家からは三島・蒲原・庄野・亀山・土山の5図が特に優れた図として挙げられることが多い。明快な色彩対比とユーモアのある人物描写により、浮世絵風景画としては軽やかな印象に仕上がっている。
大ヒットとその後
当時の庶民の旅・行楽への憧れを背景に大ヒットし、広重30代の出世作となった。冨嶽三十六景とともに、役者絵・美人画が主流だった浮世絵の中で風景画というジャンルを確立した作品と位置づけられる。好評を受け、広重は生涯にわたり「隷書版」(題字を隷書体で記し、『東海道名所図会』からの引用が見られる)、「行書版」(大判より一回り小さく彫摺が簡略化されている)など、30種類以上の異なる東海道シリーズを手がけた。
浮世絵の中での位置づけ
歌川広重の代表作シリーズ。葛飾北斎の冨嶽三十六景と並び、浮世絵風景画を代表する二大シリーズとされる。