Kiro
AWSが開発する、spec駆動開発を中心に据えたagentic IDE。2025年7月14日にパブリックプレビュー、2026年5月7日にGA。公式サイトはkiro.dev。「spec駆動開発」という語を早期に前面に押し出したツールであり、この分野の呼称が広まる契機のひとつになった。
Specs
コードを書き始める前に、エージェントが要件・設計・タスクリストをリポジトリ内に書き出す。ユーザーはまず計画をレビューし、実装後もそれらのファイルはドキュメントとして残る。
| ファイル | 内容 |
|---|---|
requirements.md |
ユーザーストーリーと受け入れ基準 |
design.md |
技術設計 |
tasks.md |
実装タスクの一覧 |
要件はEARS(Easy Approach to Requirements Syntax)という形式記法で書かれる。WHEN [条件・イベント] THE SYSTEM SHALL [期待される振る舞い]というパターンに沿わせることで、トリガー・条件・アクションを曖昧さなく、テスト可能な形で表現する。素のユーザーストーリーでは書き落とされがちなエッジケースを受け入れ基準として明示させる狙いがある。
Steering
steeringはプロジェクトに関する永続的な知識をMarkdownで与える仕組みで、チームの規約・使うライブラリ・コーディング標準などを記述する。これらは毎回の対話に自動で読み込まれ、生成されるコード全体に影響する。SKILL.mdが「必要になったときだけ読まれるタスク固有の手順」なのに対し、steeringは常に読まれるプロジェクト全体の前提という位置づけで、AGENTS.mdやCLAUDE.mdに近い。
Agent Hooks
ファイルの保存・作成・削除といったイベントをトリガーに、エージェントのアクションを自動実行する仕組み。設定は.kiro/hooks/配下のJSONで、トリガーイベント・マッチャーパターン・アクションを持つ。アクションは現在の会話にプロンプトを注入する形でエージェントの振る舞いを誘導する。GitHub Actionsに似ているが、CIではなくIDE内で発火し、実行主体がAIエージェントである点が異なる。
モデルと料金
推論はAmazon Bedrock経由でAnthropicのClaudeを使う。仕様生成のような推論重視のタスクにはClaude Sonnet、スループット重視のコード生成にはAmazon Novaを使う、というようにタスク種別でモデルを切り替える構成。
料金はクレジット制で、無料枠が月50クレジット、Pro($20/user、1,000クレジット)、Pro+($40、2,000)、Pro Max($100、5,000)、Power($200、10,000)。追加クレジットは1つ$0.04。有料プランではClaude Opusなどのプレミアムモデルが選べる。
他のspec駆動ツールとの違い
GitHub Spec KitやOpenSpecが既存のエディタ・エージェントの上に乗るツールキット/CLIであるのに対し、KiroはIDEそのものとして提供される。steeringやagent hooksのように、仕様以外のプロジェクト文脈や自動化までIDEの機能として統合している点が構成上の違いにあたる。
出典
- Kiro公式サイト
- Introducing Kiro - Kiro Blog
- Feature Specs - Kiro Docs
- Steering - Kiro Docs
- Hooks - Kiro Docs
- Kiro IDE Developer Guide: Specs, Hooks, Agents & Pricing - Lushbinary