ギラン・バレー症候群(Guillain-Barré Syndrome, GBS)

末梢神経の炎症によって急速に進行する、稀な自己免疫性の疾患。手足から始まる筋力低下がしびれ・痛みを伴いながら進行し、重症例では完全な麻痺に至ることもある。発症率はおおよそ7万8千人に1人/年で、30〜50歳での発症が最も多い。

発症機序

「感染後・免疫介在性ニューロパチー(post-infectious, immune-mediated neuropathy)」と説明される。先行する感染に対する免疫反応が異常をきたし、自らの末梢神経(髄鞘など)を誤って攻撃・損傷することで神経機能障害が起こる。遺伝性でも感染性でもない。

先行感染

患者の約2/3は発症前に感染症を経験している。

  • カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)感染: 下痢を引き起こす細菌で、GBSの最も一般的な誘因の一つ
  • 呼吸器感染・胃腸炎
  • インフルエンザ、EBウイルス、ジカウイルスなどのウイルス感染

症状の経過

症状は通常1〜4週間かけて悪化した後に安定し、その後徐々に回復していく。多くの患者は発症から2〜3週間後に回復し始めるが、完全回復までは重症度により数ヶ月〜1年以上かかることもある。

亜型

  • AIDP(急性炎症性脱髄性多発根神経炎): 欧米で最も一般的な型(約57%)。呼吸障害や自律神経障害を伴いやすく、比較的重症化しやすい
  • AMAN/AMSAN(急性運動性軸索型/急性運動感覚性軸索型ニューロパチー): アジア諸国で相対的に多い型。AMANは小児に多く、急速に進行する対称性の筋力低下と呼吸不全を特徴とする
  • ミラーフィッシャー症候群(MFS): 眼球運動麻痺・運動失調・腱反射消失の3徴を特徴とする亜型(約7%)

診断

神経学的診察・病歴聴取に加え、筋電図・神経伝導検査、腰椎穿刺(髄液検査。約80%で細胞数正常・タンパク上昇という特徴的所見)、MRIなどを組み合わせて行う。

治療

現時点で根治的な治療法はないが、緊急入院の上で免疫グロブリン療法(ドナー由来の抗体を点滴投与)または血漿交換療法、および支持療法によって症状の管理・回復促進を図る。

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出典

作成日時: 2026-08-11 23:06 / 更新日時: 2026-08-11 23:06