MySQL HeatWave

Oracleが提供するMySQL向けの完全マネージドクラウドサービス。OLTP(トランザクション処理)とOLAP(分析処理)を単一サービス内で統合し、従来はETLで別の分析基盤(Snowflake、BigQueryなど)にデータを移す必要があった構成を不要にする、というのが売り。

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アーキテクチャ

2つのコンポーネントから構成される。

  • DB System: MySQL Enterprise Editionが動くクラウドベースのコンピュートインスタンス。暗号化・データマスキング・DBファイアウォールなどのセキュリティ機能を持つ。
  • MySQL HeatWave Cluster: インメモリのアクセラレータ。1つ以上のHeatWaveノードで構成され、分析・ML・GenAI・ベクトルストア・Lakehouse機能を提供する。

DB System側でのデータ変更は暗号化された通信で自動的にHeatWave Clusterへ伝播し、常に最新データに対してクエリできる。Object Storage上のデータも自動的に取り込まれる。

技術的な設計特性としては、インメモリのハイブリッド列形式(列指向のクエリ効率と行指向の更新効率を両立)、ノード・コア単位でデータを分割する大規模並列処理、プッシュベースのベクトル化クエリ処理などがある。

主な機能領域

  1. HeatWave(分析アクセラレータ): MySQLの分析クエリをアプリケーション側の変更なしに高速化するインメモリクエリアクセラレータ。
  2. HeatWave Lakehouse: Object Storage上の最大0.5ペタバイトのデータを、MySQL DBにコピーせずにクエリ可能。
  3. HeatWave ML: データ移動なしでのインデータベース機械学習。
  4. HeatWave GenAI / Vector Store: PDF・PPT・DOC・HTMLなどの非構造化データを自動でパース・チャンク分割・ベクトル埋め込みし、インデータベースLLMによる意味検索やRAGを実現する。ベクトル処理は最大512ノードにスケールアウトし、メモリ帯域で実行される。
  5. Autopilot: ML技術を用いたクエリ最適化・自動チューニング機能。

ライセンス

「MySQL」本体と「HeatWave」は別物として扱う必要がある。

  • MySQL Community Edition: GPLv2(オープンソース)
  • MySQL Enterprise Edition: Oracleの商用プロプライエタリライセンス
  • HeatWave: オープンソースではなくOracleのプロプライエタリ製品。単体のダウンロード可能なソフトウェアとしては提供されておらず、Oracle Cloud Infrastructure (OCI)・AWS・Microsoft Azure上の完全マネージドサービスとしてのみ利用できる。オンプレミス版は存在しない(オンプレミスのMySQLと接続するハイブリッド構成は可能だが、HeatWave Cluster自体はクラウド専用)。

課金は個別のライセンス購入ではなく、サブスクリプション/従量課金(pay-as-you-go)モデルに組み込まれている。DB System(MySQLインスタンス部分)はOCPU・ストレージ単位の課金、HeatWave Clusterはノード単位の追加課金という構成。

ベクトル検索やML機能などHeatWave固有の機能は、MySQL Community版はもちろんEnterprise版にも存在しない、HeatWaveだけの独自機能。

パフォーマンス面の主張

Oracle公式によれば、類似検索(vector similarity search)においてDatabricksより15倍、Google BigQueryより18倍、Snowflakeより30倍高速だとされている。Oracle自身のベンチマークである点には留意。

出典

作成日時: 2026-08-13 08:59 / 更新日時: 2026-08-13 08:59