骨粗鬆症
骨の強度が低下し、骨折しやすくなる骨格系の疾患。NIH Consensus Development Panelの定義では「骨折リスクの増加を招くほど骨強度が低下した骨格疾患」とされる。
病態生理
骨は生涯を通じて破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成のサイクル(リモデリング)を繰り返している。骨粗鬆症は、この骨吸収が骨形成で十分に補われなくなることで生じる。骨強度は骨密度と骨質(微細構造・骨代謝回転・石灰化度など)の両方を反映する。
閉経後のエストロゲン低下やビタミンD欠乏、続発性副甲状腺機能亢進症などの内分泌的要因が古典的に重視されてきたが、近年はサイトカインや成長因子の関与など、より多因子的なメカニズムが研究されている。加齢に伴う疾患で、男性より女性に多い。
診断基準(WHO基準)
DXA(二重エネルギーX線吸収測定法)で測定した骨密度をもとに、若年成人平均値との差を標準偏差で表したT-scoreで判定する。
- T-score が -1.0 以上: 正常
- T-score が -1.0〜-2.5: 骨減少症(osteopenia)
- T-score が -2.5 以下: 骨粗鬆症
測定部位は腰椎・大腿骨近位部(総大腿骨・大腿骨頸部)、場合により橈骨遠位1/3部位。複数部位を測定した場合は最も低いT-scoreで診断する。
リスク因子
加齢、女性、閉経後であること、家族歴、低栄養、運動不足、特定の薬剤(ステロイドなど)が挙げられる。WHOの骨折リスク評価ツール「FRAX」は、骨密度に加えて年齢・体重・骨折歴・家族歴・喫煙・飲酒・ステロイド使用歴などを組み合わせて10年以内の骨折確率を算出する。
治療
ビスホスホネート製剤(アレンドロネート、リセドロネート、ゾレドロン酸など)が第一選択薬として広く用いられ、脊椎・股関節・その他の非椎体骨折のリスクを低下させることが示されている。米国内科学会(ACP)の2023年ガイドラインでは、65歳以上で骨量減少のある女性に対し個別化したアプローチを取り、治療を開始する場合はビスホスホネートを用いることを提案している。顎骨壊死(ONJ)や非定型大腿骨骨折などの重大な合併症の発生率は低いとされる。