SSPL
#license #source-available #copyleft
Server Side Public License。MongoDB社が2018年10月に作成したライセンス。AGPLv3をベースに第13条を全面的に書き換えたもので、クラウドベンダーが自社ソフトをマネージドサービスとして「タダ乗り」提供することへの対抗が目的。
第13条: Offering the Program as a Service
AGPLの第13条が「改変版をネットワーク経由で使わせるならそのプログラムのソースを提供せよ」であるのに対し、SSPLの第13条は:
- 改変の有無を問わず、プログラムの機能を第三者にサービスとして提供すること自体がトリガーになる
- 公開義務の範囲がプログラム本体にとどまらず、サービス提供に使うスタック全体に及ぶ。条文には管理ソフトウェア・UI・API・自動化ソフト・監視ソフト・バックアップ・ストレージ・ホスティングソフトウェアまで列挙されており、これら「Service Source Code」をすべてSSPLで公開しなければならない
事実上、クラウドベンダーが自社の運用基盤ごとオープンにしない限りマネージドサービス化できない設計であり、「ライセンス料を払って商用ライセンスを買え」へ誘導するための実質的な禁止条項と受け止められている。
OSI非承認
- MongoDBは2018年10月にOSIへ承認申請したが、レビューで「特定の利用分野(サービス提供)への差別でありOpen Source Definitionに反する」との批判が強く、2019年に申請を取り下げた
- OSIはその後「SSPLはオープンソースライセンスではない」と明確に表明しており、source-availableライセンスに分類される
- この結果、Debian・Fedora・RHELはMongoDBをリポジトリから削除した
採用と、それが誘発したフォーク
- MongoDB (2018): AGPLv3から移行。SSPLの本家
- Elasticsearch/Kibana (2021): Apache 2.0からSSPL/Elastic Licenseのデュアルへ → AWSがOpenSearchをフォーク。2024年9月にAGPLv3を追加してOSI承認ライセンスに復帰
- Redis (2024): BSDからRSALv2/SSPLv1のデュアルへ → Valkeyがフォーク。2025年5月のRedis 8でAGPLv3を追加して復帰
ElasticもRedisも最終的にAGPLv3併用でオープンソースに戻っており、「SSPL単独はコミュニティの離反(フォーク)コストが大きすぎる」という前例になりつつある。
ソフトウェアライセンスの中での位置づけ
AGPLよりさらに強い網羅的コピーレフトを狙った拡張だが、OSI非承認のためオープンソースではなくsource-availableに分類される。時限式でOSS化するBSLとは別系統のsource-availableライセンス。