3Mの15%カルチャー
3Mの技術系従業員が、勤務時間の最大15%を自分の選んだ独自プロジェクト(社内では “experimental doodling"=実験的ないたずら書き、と呼ばれた)に使ってよいとする制度・文化。1948年に導入され、Googleの20%ルールやHPなど後のテック企業の類似制度の先行事例となった。
起源: William McKnightの経営哲学
当時の3M会長 William L. McKnight が1948年に打ち出した経営原則(McKnight Principles)に由来する。意思決定を組織の下層に委譲し、自発性を奨励し、失敗を許容するという思想で、「アイデアを持つ者の話は誰のものであれ聞け (listen to anybody with an idea)」という姿勢が15%ルールの土台になった。
代表的な成果: ポストイット
- 1968年、研究者 Spencer Silver が航空宇宙向け接着剤の研究中に「強く貼り付かない接着剤」を偶然作った。用途が見つからないまま社内で紹介を続けた。
- 1974年、同僚の Art Fry が「教会の賛美歌集の栞がすぐ落ちる」問題からこの接着剤の用途を思いつき、15%タイムを使って紙に塗って剥がせる付箋を試作した。
- 1977年に Post-it Notes として製品化され、3Mを代表するヒット商品になった。
他にもScotchテープなど、3Mのベストセラー製品の多くがこの制度から生まれたとされる。
企業のイノベーション奨励制度・文化の中での位置づけ
McKnight Principlesの思想を制度として実装したもので、この系譜の元祖。Googleの20%ルールなど後続の類似制度の手本になった。
出典
- Fast Company: How 3M Gave Everyone Days Off and Created an Innovation Dynamo
- i4cp: 3M’s Culture of Innovation
- The Chemical Engineer: Spencer Silver and Arthur Fry – In Search Of An Application
- National Inventors Hall of Fame: The Invention of the Post-it Note
- Wikipedia: William L. McKnight