港川人
沖縄県八重瀬町(旧・具志頭村)字長毛の港川遺跡で発見された、後期旧石器時代の化石人骨。日本列島で発見された全身骨格を持つ人骨としては白保竿根田原洞穴遺跡(27,000年前)に次ぐ古さ。
発見の経緯
- 1967年、アマチュア考古学研究家の大山盛保が石灰岩の石切場でイノシシの化石を発掘
- 1968年1月、断片的な人骨を発見
- 1970年8月〜12月、東京大学の鈴木尚らのチームによる本格発掘調査で、4体分(男性1体・女性3体)の全身骨格が出土
- 1998年以降にも追加調査が実施されている
人骨は「フィッシャー(fissure、裂か)」と呼ばれる石灰岩の割れ目の中から出土した。フィッシャーは鍾乳洞の形成過程でできる地質構造で、動物や人間の遺骸が自然に落ち込んで堆積・保存されやすい環境になっていた。
年代
伴出した炭化物・イノシシ遺骨の放射性炭素年代測定により、約1万8000年前〜2万2000年前(後期旧石器時代)のものとされる。
身体的特徴
- 男性は身長約155cm、女性は約144cmと小柄
- 下半身は筋肉質で頑丈な一方、上半身は華奢
- 握力・咀嚼力が強かったことが骨格から読み取れる
- 骨内部には栄養不足による成長阻害の痕跡も見られる
起源説
国立科学博物館などの研究では、港川人の顔立ちはオーストラリア先住民やニューギニアの集団に似ているとされ、東南アジア〜オーストラリアに広く分布していた集団に起源を持つ可能性が指摘されている。
一方、2021年のミトコンドリアDNA解析では、港川人は縄文人の直接の祖先ではなく、共通祖先から東南アジア付近で分岐した別系統の子孫であることが示唆された。