Ollama

ローカルLLMを手軽に動かすためのランタイムツール。CLI(ollama run llama3)、Dockerライクなモデルレジストリ、Modelfileによるモデル定義、OpenAI互換のREST API(port 11434)、モデルの自動ダウンロード・常駐管理などを提供する。内部の推論エンジンとしてllama.cppを利用しており、「llama.cppがエンジン、Ollamaはその上に載った車」という比喩がよく使われる。

アーキテクチャ

Ollamaは2種類のランナーを持ち、モデルアーキテクチャに応じて自動選択する。

  • llamarunner: /llama/llama.gollama.cppのC/C++コードをCGO経由で直接呼び出す従来の実装。
  • ollamarunner: マルチモーダルモデル対応のため2025年に導入された、/runner/ollamarunner/以下にGoで実装されたOllama独自の推論エンジン。画像処理メタデータ・KVCache最適化・画像キャッシュ、チャンク化attention、2D回転埋め込みなどをサポートする。

つまりOllamaは全面的にllama.cppへ依存しているわけではなく、一部のモデル系列は独自エンジンで動く。ollamarunnerが未対応のアーキテクチャに遭遇すると、llamarunnerへ自動的にフォールバックする、互換性優先のデュアルエンジン設計になっている。

ollamarunnerの「pure Go」の意味

ollamarunnerは「pure Go推論エンジン」と説明されることが多いが、これは誤解しやすい表現。実際にはllamarunner・ollamarunner共に、最終的にはGGMLバックエンド(CUDA/ROCm/Metal/CPU)を通じてテンソル演算を行う点は変わらない。ollamarunnerの「pure Go」性は、llama.cppのCGoラッパー(llama-server相当のコード)を経由しない、という意味であり、モデルのグラフ構築・スケジューリング・KVキャッシュ管理といった制御ロジックをOllamaチームがGoで再実装した、という点を指す。

構成要素は主に3つのGoファイル(cache.go・multimodal.go・runner.go)からなり、Server(推論サーバー本体、新規シーケンスの生成を管理)・Sequence(プロンプトと画像データを持つ1つの推論シーケンス)・InputCache(複数スロットでKVキャッシュを管理し、LoadCacheSlot()でロード、ShiftCacheSlot()で古い履歴を捨てて新しい履歴にシフトする)という構造体が中心になる。

llama.cppのCGo越しの呼び出しオーバーヘッドを避けられる分、prefill(プロンプト処理)とdecode(トークン生成)のパイプライン実行が並列化しやすく、理論上スループット面で有利とされる。

llama.cppとの違い

  • 手軽さ: llama.cppはバイナリとモデルファイルを渡され利用者が細部までパラメータを指定する低レベル志向。Ollamaはモデルの自動ダウンロード・常駐管理・シンプルなCLI/APIで手軽さを優先する。
  • 性能: 素のスループットはllama.cppの方が数%〜(ケースによっては)数十%上回ると報告されることが多い。Ollamaは薄い抽象化層のオーバーヘッドがある一方、モデル常駐によるウォームキャッシュで対話用途では体感差が縮まることもある。
  • 制御性: llama.cppはロジット制御・文法制約サンプリング・シード指定など細かい制御が可能。Ollamaはそこを隠蔽している。
  • 運用: Ollamaは常駐デーモン方式、llama.cppは単一プロセスで攻撃面が小さいという指摘もある。
  • 開発速度: llama.cppは新モデルアーキテクチャへの対応が日次更新レベルで速い一方、Ollamaがそれを取り込むのは週〜隔週サイクルになりがち。

実例として、あるブログ(nullmirror.com)ではOllamaからllama.cppへ推論バックエンドを移行しており、小規模モデルでスループットが4割近く向上したこと、ロジット制御や文法制約サンプリングなど細かい制御ができること、単一プロセスでの運用のシンプルさを移行理由として挙げている。

GPUStackとの関係

GPUStackはOllamaのモデルライブラリとのモデル互換性を持ちつつ、複数GPU・複数ノードにまたがるクラスタ管理や認証・アクセス制御などエンタープライズ向け機能を追加で提供する、別レイヤーのツール。

出典

#machine-learning #llm

作成日時: 2026-08-19 17:09 / 更新日時: 2026-08-19 17:46