llms.txt
Webサイトが「LLM/AIエージェントに読ませたいドキュメントの目次」をMarkdownで置くための提案仕様。2024年9月3日にJeremy Howard(fast.ai / Answer.AI)が提案し、2026年8月10日にv2へ更新された。仕様はllmstxt.orgにある。
RFCでもW3C標準でもなく、あくまで個人発の提案である点に注意。robots.txtのような「クローラーが自動で取りに来る」慣習はまだ確立していない(後述)。
動機
HTMLページはナビゲーション・広告・JavaScriptなどのノイズが多く、コンテキストウィンドウの限られたLLMにとって効率が悪い。そこで「このサイトの重要なドキュメントはここにある」という機械可読なインデックスをMarkdownで提供する、という発想。AI friendlyなCLIの作り方がCLIをエージェントの一級ユーザーとして扱う話だとすれば、こちらはドキュメントサイト側の同じ問題意識にあたる。
フォーマット
Markdownで、構造は以下の通り。
# プロジェクト名
> 一行〜数行の要約(blockquote)
補足の段落やリスト(任意)
## Docs
- [ページ名](https://example.com/docs/foo.md): 短い説明
- [別のページ](https://example.com/docs/bar.md): 短い説明
## Optional
- [優先度の低い資料](https://example.com/appendix.md)
H1タイトルとblockquoteの要約、H2で区切ったリンク集という構成。## Optionalセクションは「コンテキストが足りなければ省いてよい」という意味付けを持つ。
配置場所
v2で「サイトのルート、またはその中の任意のパスに置ける」と明記された。そのファイルは配置先のパス配下のURLをカバーし、複数該当する場合は最も具体的なものを使う。
つまりhttps://example.com/foo/bar/llms.txtという置き方は仕様上正しい。ただし仕様がそう定めているだけで、それを巡回して探しに行くクローラーは実質存在しないので、置いただけでは何も起きない。
llms-full.txt
全ドキュメントを1つのMarkdownファイルに連結したもの。これは仕様には存在しない。Mintlifyなどのドキュメントプラットフォームが自動生成し始めて事実上の慣行になったもので、llmstxt.orgの仕様文書には記述がない。
llms.txt— 目次(タイトル・URL・短い説明)。エージェントがここを見てから個別ページを取りに行く。llms-full.txt— 全文。200Kトークン級のコンテキストを持つツールなら丸ごと突っ込める。
実務では後者を@Docs等に登録して使うケースの方が多い印象。
実際に読んでいるエージェントはほぼいない
これが一番重要な点。2026年時点で、主要なAIクローラー・エージェントで「llms.txtを自動的に探して読む」と公式にコミットしているものは無い。
Ahrefsが2026年5月に137,210ドメインを調査した結果:
- 28%のドメインがllms.txtを公開していた
- 97%のファイルは月間アクセスがゼロ
- アクセスがあった3%についても、内訳の上位はSEO監査ツール21.7%、一般ウェブクローラー13.1%、技術プロファイリング11.6%
- AI関連ボットは合計19.5%。内訳はAIエージェント/インフラ10.5%、GPTBot 4.51%、AI補助ツール2.5%、PerplexityBot等の検索1.1%、ClaudeBot 0.8%
GoogleのJohn Muellerは2025年6月にBlueskyで「FWIW no AI system currently uses llms.txt」と述べ、2026年6月2日にも「purely speculative for now(ファイルは何年も存在しているのにどのAIシステムも使っていない — それが何を意味するか)」と繰り返している。Googleは AI Overviews でllms.txtを参照せず通常のSEOで評価するという立場で、代替としてWebMCP(ブラウザ内でWebサイトがエージェントにツールを公開する提案)を挙げている。
一方で、OpenAI・Anthropic・Googleはいずれも自社ドキュメントでllms.txtを公開はしている。「出すが読まない」という非対称な状況になっている。
機能する使い方: 明示的にURLを渡す
自動発見はされないが、人間やエージェントが明示的にURLを指定した場合は普通に機能する。現状これが唯一の実用的な使いどころ。
- Cursor / Windsurf の
@Docsにllms-full.txtのURLを登録する - Claude CodeのようなCLIエージェントに「このURLのllms.txtを読んで」と渡す(WebFetchで素直に取れる)
- Context7のようなドキュメント提供MCPサーバーが裏でこれを取得する(Agent Pluginsの
mcp.json経由で配布されるものを含む)
Anthropic・Stripe・Cursor・Cloudflare・Vercel・Supabase・LangGraphあたりがllms.txtを整備しているのは、SEO的な効果を期待してというより、この「ドキュメントをLLMが食べやすい形で提供するエンドポイント」としての用途と考えるのが妥当。
考えたこと
「受動的に置いておけばクローラーが優遇してくれるメタデータ」として捉えると空振りする。metaキーワードタグと同じ運命を辿りかねない、というMuellerの比較はその文脈では的を射ている。
一方、能動的に指定される前提の「LLM向けドキュメント配信フォーマット」として見ると、実装コストの割に効果がはっきりしている。自分のプロダクトのドキュメントサイトに置くなら、SEOのためではなく「利用者が自分のエージェントに食わせるため」と割り切るのが良さそう。
出典
- The /llms.txt file - llmstxt.org
- We Analyzed 137K Sites: 97% of llms.txt Files Never Get Read - Ahrefs
- Google Says No AI System Currently Uses LLMs.txt - Search Engine Roundtable
- Google says normal SEO works for ranking in AI Overviews and LLMS.txt won’t be used - Search Engine Land